はじめに
地震、台風、豪雨、落雷。
日本は自然災害が多い国です。災害が発生したときに最も困ることのひとつが「停電」ではないでしょうか。
停電が起きると、冷蔵庫の食品が傷み、エアコンや暖房が使えなくなり、スマホの充電もできなくなります。
真夏や真冬に電気が使えなくなることは、健康や命に直結する大きなリスクです。
実は、家庭の災害対策において「電気工事」が果たす役割はとても大きいのです。
この記事では、「災害に強い家」を実現するために必要な電気工事のポイントを10の視点で紹介します。
1. 非常用コンセントで“最低限の電力”を確保
停電したときに、どのコンセントが使えるのか分からないと混乱します。
非常用電源につながるコンセントは色を変えたり、ラベルをつけて区別しておくことが大切です。
例えば、赤い非常用コンセントをリビングや寝室に設置しておけば、停電時でもスマホの充電や照明確保ができます。
2. 太陽光発電は“災害時の味方”
太陽光パネルがあれば、昼間は自宅で電気をつくることができます。
停電時でも「自立運転モード」に切り替えれば、専用コンセントから電気を取り出せます。
冷蔵庫や携帯充電程度なら十分まかなえるため、災害時に非常に頼りになる存在です。
3. 蓄電池で“夜間の安心”を
太陽光があっても、夜になると発電できません。
そこで活躍するのが家庭用蓄電池です。
昼間にためた電気を夜に使えるため、真っ暗な夜でも照明・冷蔵庫・通信が確保できます。
小型でも6時間~12時間程度、大型なら1日以上生活を支えられます。
4. 発電機との組み合わせで長期停電に対応
災害によっては、停電が数日以上続くこともあります。
その場合、太陽光や蓄電池だけでは足りないことも。
ガソリンやガスを使う発電機を組み合わせることで、長期停電にも対応可能です。
発電機を安全に使うには「発電機接続用コンセント」の設置工事が必要です。
5. 分電盤の耐震・防水対策
地震や浸水で分電盤が壊れると、復旧に時間がかかります。
古い分電盤をそのまま放置せず、耐震固定や防水工事を行っておくことが重要です。
特に床下や半地下に分電盤がある家は、浸水リスクに要注意です。
6. 漏電遮断器で“二次災害”を防ぐ
災害後に火災が発生する原因の多くは「漏電」です。
地震や浸水で配線が傷み、そこから電気が漏れて発火するのです。
漏電遮断器を設置しておけば、異常があった瞬間に電気を遮断して火災を防げます。
災害時の“命を守る最後の砦”です。
7. 非常用照明で“暗闇の不安”を解消
停電で一番困るのは「暗闇」です。特に小さな子どもや高齢者にとっては恐怖になります。
蓄電池内蔵の非常用照明や誘導灯を設置すれば、停電しても自動で点灯します。
廊下や玄関に設置すれば、安全に避難でき、転倒事故も防げます。
8. 通信手段を守る電源確保
災害時に最も大切なのは「情報」です。
スマホやWi-Fiルーターの電源が確保できなければ、避難情報や家族との連絡が途絶えます。
非常用コンセントや蓄電池を使って、スマホ・ルーター・ラジオを優先的に動かせるように設計しておくことが重要です。
9. 家族で“停電時のルール”を決める
電気工事だけでなく、家族で「停電したらどう行動するか」を話し合っておくことも大切です。
どのコンセントが非常用か
どの電化製品を優先して使うか
発電機を誰がどう扱うか
ルールを共有しておけば、災害時の混乱を防げます。
10. 定期点検で“備えを本物にする”
非常用電源や蓄電池は、普段はあまり使いません。
だからこそ、年に一度は点検や模擬停電テストをして、確実に使える状態を維持することが必要です。
「導入して安心」ではなく、「点検して本当に使える」状態にしてこそ、備えは意味を持ちます。
おわりに
災害はいつ、どこで起きるか分かりません。
停電は一瞬で家庭を不安にし、生活を困難にします。
だからこそ、「災害に強い家」は 電気工事によって実現される のです。
太陽光や蓄電池で停電に備える
非常用コンセントや照明で安心を守る
分電盤や漏電遮断器で二次災害を防ぐ
これらを整えておくことで、家族の命と暮らしを守ることができます。

